関西大学経済学会

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開催報告書 【2019年度 第11回研究会】

第11回研究会 開催報告書

日 時: 2019年10月15日(火) 18:00~20:00

場 所: マルチメディア・ラボ(ソシオネットワーク機構6F)

報告者:
Jauer Chen 氏 (東京国際大学) 

Title:
“Causal Random Forests Model using Instrumental Variable Quantile Regression”

 

開催報告: by 稲葉 大 氏(関西大学経済学部・教授)

 2019年10月15日18時10分から20時まで,第11回研究会を開催した。東京国際大学国際戦略研究所准教授のJauer Chen氏により,”Causal Random Forests Model using Instrumental Variable Quantile Regression”の報告が行われた。報告内容は,因果関係の識別をInstrumental Variable Methodを利用したうえで,Athey, Tibshirani and Wager (2019, The Annals of Statistics)により開発されたgeneralized random forests methodを用いてsample moment conditionのweightを決定し,モデル・パラメーターの推定を行うという,Causal Machine Learningに位置づけされる新しい手法についてであった。また推定において,Quantile regressionによって分位点ごとの効果を見ることにより分布の情報,および各control変数が分位点ごとの効果に対して与える重要度が推計できることが,この推計方法の新しい点になる。今回の手法の応用として,アメリカの401(k)の参加率に関して,資産に関するQuantile regressionを行い,先行研究と比較してもロバストな結果を得ていることを示した。 研究会において,下記のような質疑およびコメントがあった。

 data observationを半分に分けることで,半分を決定木モデルの同定に用い,残りの半分をweightの特定化に用いているが,推定のefficiencyに影響は無いかという問いがあった。これに対し,半分にしたデータを,入れ替えて推定し,二つの結果の平均的な性質を求めることによって,問題点を解決できるということであった。

 また,推定するモデルのcontrol variableについて,分位点ごとの効果に対する重要度を決定木から得られる情報を用いて,Gini係数のような指標によって計測しているが,Gini係数よりも,Theil指数やEntropyを用いるほうが,重要度について数学的な要因分解が可能となるのではというコメントがあった。

 その他,アメリカの401(k)の参加率に関して,資産に関するQuantile regressionへの重要度として,教育レベルの差がそれほど重要な効果を持っていないことに関して質問があった。これに対し,所得や年齢に比べて相対的にその効果が小さいのであり,教育レベルの差が影響しないということでは無いというリプライがあった。

 

以上